低磁場MRI装置に限定した安全性情報は特に発出されていません。2024年にMR医学会に報告されたインシデント報告(1109件)に1.5T未満装置が10数件ありますが、転倒によるレベル3aの事例とレベル2はペースメーカ植込み患者の誤った実施2件、ルートの抜け2件、点滴台の吸着が1件で、3b以上に至った事故は報告されていません。
低磁場装置の吸引力ならびにRFパルスによる発熱作用は、1.5Tや3.0T装置に比べて低いですが、吸引や発熱がどのような機序で作用するかを熟知されている技術者が担当されるのはもちろんのこと高磁場装置と同様の安全基準で検査を実施されるのが理想的です。しかしながら、低磁場装置の利点を生かすことも考えてもよいことで、当該装置の吸引力、さらにシーケンスによる発熱作用がどの程度であるかを検証のうえ、施設ごとの基準を設けるのもアリだと考えます。メイクやネイル、着替え、マスクなどの判断基準はMRI Safety Forumの別項をご参照ください。ちなみにSARの規制値は磁場強度に関係なく一定です。
条件付きMRIM対応の体内デバイスの添付文書には、「3.0Tまたは1.5T装置でMR可能」や「3T装置以下でMR可能」とさまざまな記載があります。「3.0Tまたは1.5T装置でMR可能」との記載がある場合は、1.5T未満の装置でMRIは不可となりますのでご注意ください。