以下の回答は完全でないと考えています。ご指摘や提案などありましたらご意見をお寄せください。
火災として、MRI検査室から出火する場合と他から類焼の恐れがある場合があります。
1.MRI検査室内から出火する場合は,
・電気系ユニットのトラブル
・照射コイル、傾斜磁場コイル、受信コイル等の発熱 が原因として考えられます。
内部製品は基本的に難燃性で作られていますが、化粧板などは可燃性の場合があります。
1-1.火災を発見した時の対処として、
1)火災が発生したことを他者に知らせる。
近くに人がいれば、火災報知器を押すことを頼み、MRI検査担当者以外が検査室に入らないように一人は監視する。
2)患者テーブルをガントリから引き出す。
3)患者を検査室外に退避させる。着脱可能なテーブルの場合はそのまま外にでる。
着脱不可能な場合は、慎重にかつ大胆に避難作業を遂行する。
4)残留者確認を行う。
5)エマジェンシ(非常用オフ)ボタンを押す(装置の全AC電源をオフ)。
6)壁付きのコンセントから全AC電源のプラグを抜く。
7)MR対応消化器で初期消火を行う(MRI対応消化器以外は絶対に使わない)。
8)必要であれば消防署に連絡をする。
9)ボヤで済む(検査室内で他に類焼を及ぼさない)場合は、クエンチをさせない。
10)強制排気スイッチは入れない(新鮮な空気が入って火災が大きくなる可能性がある)。
1-2.類焼なくボヤで済んだが、消防隊が到着した場合
11)消防隊の入室には厳重な注意が必要です。
入室前に説明し、着衣,装着物,持ち物に金属類がないか厳しくチェックをしてください。
1-3.類焼の恐れがあり自らが避難しけれなならない場合(1-1.8)以降)
12)クエンチをさせ扉を閉め鍵をかけて退出する。ヘリウムは不燃性なので燃えない。
鍵をかけるのは消防隊が不意にMRI検査室内に入らないようにするためで、
完全なクエンチができず磁場が残っている場合と酸素濃度が低下している場合、さらに気化したヘリウムによる低温火傷を想定している。
13)クエンチをさせたので強制排気スイッチを入れる。
14)残留者確認をしつつ、患者を優先して避難場所に避難する。
15)できればヘリウム排気口から順調に排気されていることを確認する。
もし排気されていなければ、内部に排気されている可能性がある。
2.周辺の火災がMRI検査室に類焼を及ぼす危険性のある場合
2-1.今後、そのままMRI検査室を使えることは少ないことを想定します。
2)~6)までは同じ、7)8)は不要、
12)~15)装置をクエンチさせ扉を閉め鍵を掛け強制排気をかけて避難する。
2-2.機械室,室外機が火災によって停止した場合
1)~15)まで同様で、火災の状況によって9)以降を判断する。
ただしクエンチをした場合、動作するまで時間を要する。
3.装置の再稼働
いずれの場合も必ずメーカに通報する。
再稼働には、必ずサービスエンジニアがシステムを点検した後に実施する。
4.災害時の対応
日本磁気共鳴医学会安全性評価委員会の「MR検査室の防災指針」
同じく同委員会の「災害時におけるMR装置の安全管理に関する指針」を参照してください。
本サイトの「安全情報」に全文を掲載しています。
ここでは、クエンチをさせる基準より、クエンチしていないかの確認がポイントとなっています。