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2015年10月に、添付文書上MRI禁忌とされるデバイスを装着したまま検査をした場合、刑事罰になる可能性があるという法律の話を聞きました。詳しい資料や参考になる事例はありますか?
規制・安全性情報
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平成27年10月1日から医療法(第6条の11)改正に伴い医療事項調査制度が施行されています。この制度は、医療事故が発生した医療機関において院内事故調査を行い、その結果を医療事故調査・支援センターに報告することで原因究明および再発防止策を図り、医療の安全と質の向上を達成するものです。

それと同じくして、公益財団法人 日本医療評価機構から「患者の体内に植込まれた医療機器の不十分な確認について(医療安全情報No.62)」として、患者に挿入された乳房の皮膚拡張器(ナトレル133ティッシュ・エキスパンダ)やペースメーカを植込んだ患者のMRI検査の実施事例などの報告から、添付文書の遵守とチェックシステムの改善を啓発しています。

添付文書の記載事項を遵守せずに事故が発生した場合の判例として、平成8年1月23日の最高裁判所第三小法廷での「医師が医薬品を使用するにあたって医薬品の添付文書に記載された使用上の注意事項に従わず、それによって医療事故が発生した場合は、これに従わなかったことにつき特段の合理的理由がない限り、当該医師の過失が推定される」としたものがあります。添付文書は医薬品医療機器等法(旧薬事法)第63条の2によって医薬品や医療機器の販売時に作成することが義務付けられています。平成17年3月10日には厚生労働省医薬食品局安全対策課長通達によって、医療機器の添付文書の使用上の注意について、記載項目・記載順序等の記載要項が規定されています。このことからも添付文書は、医療安全の観点からも法律に準ずる重みがあると考えられます。

以上のことから、添付文書上MRI禁忌の記載があるにも関わらず検査を実施し患者に障害を与えた場合には、過失を問われる可能性が極めて高いと考えます。チーム医療として、医師がたとえ誤った判断をした(禁忌事項を見落とした)としても、水際でMRI担当者が阻止するのが医療安全だと考えますので、誰に責任があるというのではなくて、「自分が責任を負う」ぐらいの気概をもって臨床現場の技術者は検査に臨むべきだと考えます。

参考資料を以下に紹介いたします。

①医薬品医療機器法(旧薬事法)第63条の2 「法令データ提供システム」 http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxsearch.cgi

②平成26年10月2日薬食発1002号第8号「医療機器の添付文書の記載要項の改正について」 https://www.pmda.go.jp/files/000148769.pdf

③平成17年3月10日薬食安発第0310004号「医療機器の添付文書の使用上の注意記載要項について」 http://.hapi.or.jp/dovumentation/yakuji/pdf/yakusyokuanhatsu_no_03100004.pdf

 

 

 

 

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