SARは体重から循環血液量を推測したうえでの安全基準です。現行JIS Z4951において、妊娠患者の体重入力に関する特別な記載はなく、IEC60601-2-33 Ed3.2では妊娠している患者の撮像において「胎児が一般の人の一部として考慮される」と記載されていることからも、妊娠している患者の現在の体重を入力することが正しいと考えます。
この場合のMRI検査は通常操作モードで撮像することが必須であり、妊娠第1三半期または未知の妊娠の患者を検査することは基本的に許容されません。また、妊娠している女性は熱を放散する能力が損なわれている可能性があることも鑑みて、母親の全身SARと胎児への局所的加温を最小にする必要があります。いずれにせよ、妊婦さんへのMRI検査は医学的に有用であるとの判断のうえで、十分なインフォームドコンセントを行った後に実施してください。
頭部MRI検査であれば、可能であれば頭部送受信用コイルを使用した方がRFの照射範囲が限定されます。