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「空間傾斜磁場は気にするべきか」の質問の中でも回答がありますが,より詳しい解釈についてお伺いします.

以前の質問の中で,添付文書の記載内容については,全てがクリアされないと安全が保証できないと考えると回答がありました.

この件に関しては,検査中に空間磁場勾配が確実に緩やかになると推測されるガントリ内の場所であっても,検査は行えないという解釈でよろしいのでしょうか?

ガントリに入る際に空間磁場勾配の最大となるポイントを通過するため,確実にデバイスには力が加わることが問題であるということでしょうか?

デバイスのメーカーに問い合わせても添付文書通りとの説明のみですので,困っております.

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添付文書のすべてをクリアして検査を実施するのが検査担当者の責務であることに変わりありません。

静磁場における空間の傾斜磁場(空間磁場勾配)は装置固有のもので、例えば、GE社MR750w(3T)では最大1240gauss/cm、MR750(3T)では最大1310gauss/cm、Philips社Achieva(3T)では最大1700gauss/cm、Ingenia(1.5T)では800gauss/cmとなっています。この値は、ガントリ開口部の磁力線が最も急峻に曲がっているところで測定された最大値です。

磁力線による傾斜磁場は、ガントリのX-Y軸(身体を撮像する場合の横断面)の中心に近づくほど低くなります。例えば中心から30cmの位置で、MR750w:830gauss/cm、MR750:790gauss/cm、Achieva:550gauss/cm、Ingenia:280gauss/cmです。中心部から20cmの位置では、MR750w:620gauss/cm、MR750:600gauss/cm、Achieva:510gauss/cm、Ingenia:260gauss/cmとなります。この値は、装置メーカから出されています。

ステントなどの添付文書に記載されている空間磁場勾配の制限値の多くが、680gauss/cmや720gauss/cmなどと記載されていますので、ガントリ開口部を通過する時にその制限値を上回らなければ大丈夫ということになります。したがって、例にあげた3TGE社装置であれば中心部から20cm以内を通過すれば大丈夫ですし、Philips社装置であれば30cm以内なら大丈夫だということになります。また1.5T装置の方が安全域が広いということも上記のデータから明らかです。

以上はあくまで例ですので、ご自身の施設で使用されている装置の静磁場における空間の傾斜磁場の最大値だけではなく中心からの距離に対する値も入手され、添付文書の制限値とステントの挿入位置を照らし合わせて判断をしてください。制限値が3T以下680gauss/cmと記載されているステントが体幹の中央部に挿入されていれば、一般的な装置ならベッドに仰臥位の状態で静かにガントリ内に挿入すれば大丈夫だと判断できる場合が多いです。しかし、MRI検査に対する規制値が添付文書に未記載のデバイスに関しては、未試験ですので安易にMRI検査を実施することは禁物です。

 


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