アメリカ医学会雑誌(952-961(9)316;2016.JAMA)に「Association Between MRI Exposure During Pregnancy and Fetal and Childhood Outcomes」という妊娠中のMRI検査の胎児期および幼児期の影響を大規模なコホート研究をした論文があります。この論文では、妊娠第1三半期中にMRI検査をした(RF暴露のある)群とMRI検査をしなかった群に死産や先天異常、視力障害、聴力障害、任意の新生物の発生に有意差がなかったと報告されています。
従事者の場合、RF暴露はなく非電離放射線(電磁波)による暴露だけとなるのでさらにリスクは低下します。しかしながらヨーロッパの基準では、妊娠が判明した時点から5ガウスラインより近づかないような規制がありますが、その根拠は明確ではありません。また日本ではそのような規制は今のところありません。したがって、ルールとして決めるのは施設の考え方によりますが、本人の意思を尊重することでいいように思います。
5ガウスラインは磁場強度やシステム構成によってガントリからの距離が異なるだけです。MRI対応医療機器にも5ガウスラインより近づけないような注意書きのある機器もあります。