意思疎通のできない救急患者のMRI検査を実施する前のチェックとして、ペースメーカの植込み、人工内耳や補聴器、磁性の歯科インプラント、体表の貼付剤や金属類の有無などが必要最小限の項目になります。それらはMRI検査によって患者に傷害を与えたり装置の機能を破壊する可能性のある機器や、検査後に患者が治療を要する事態にならないようにするためのものです。
救急患者に対してペースメーカの植込みの有無は常に疑ってかかることで(スタッフが貴重品の中にペースメーカ手帳を持っているかを探す目が異なる)スタッフの認識が大きく変わります。現状ではリードレスペースメーカにMRI非対応のリードレスペースメーカはない(メドトロニックからの情報)ということですので、発見できた場合はすべてMRI対応モードに変更すればMRI検査が可能です。質問者が言われるように、リードレスペースメーカを植込んだ患者が意思疎通のできない状態で運び込まれた場合の見逃しは起こる可能性があります。しかしながら多くの被検者を考えた場合、ペースメーカを植込んでいるという証明はありますが、植込んでいないという証明はありませんので、確実にペースメーカを植込んでいないと証明できる人以外の方のMRIはできなくないことになります。そのような場合には患者さまの救命を優先に考えて、MRI検査が次の治療に絶対に必要ならMRI検査をするべきですし、他の検査でカバーできるのなら他の検査を選択肢に考えるという選択をその都度する判断する必要があります。不明のまま検査をする場合には、生体モニターを装着するなど最善の管理体制が必要です。
もし、MRI検査後にペースメーカの存在が分かった場合には、即時に正常に作動しているかを確認し、しばらくフォローするしかありませんが、MRI検査を実施したからといって必ず破損するわけではないことも知っておく必要があります。