脊椎固定デバイスの素材から推測すると、吸引については大きな問題にならないと考えますが、ガントリ内でのトルクの作用は意識した方がいいと考えます。ただ幸いにしてデバイスは脊椎にほぼ平行ですので、一般的に寝台に平行に仰臥している場合には、デバイスに大きなトルクが働いしている状態とは言えません。発熱に関しては試験をしていないデバイスが多いようですが、発熱する危険性はゼロではないとしか言えません。したがって、RFパルスを直接照射しない場合は危険性が低く、直接照射する場合はより危険性が増すことになることに意識してMRI検査を実施することになります。脊椎固定デバイスが挿入されているからMRI検査をしないという選択肢は低いと考えます。ただ術後8週間はMRIを控える方が望ましいです。
実際の検査に際しては、主治医にリスクとベネフィットの判断を受けた後に、患者様には体内デバイスがあることのリスクと検査中に異常を感じれば即座に通報していただくことを十二分に説明し納得していただくことが重要です。MRI検査は1.5T以下、SARは通常操作モードで実施するのが一般的です。
ただし、添付文書に吸引や発熱などに関する許容範囲が明確に記されている場合は上記の限りではありません。