SAR(specific absorption ratio:比吸収率)は、RF(radiofrequency)磁界による体内への投入エネルギーを「組織単位質量あたりの電力[W/kg]として表した値です。
RF送信コイルからのラジオ波帯域の高周波の照射によって、高周波エネルギーが誘導加温によって人体で熱に変わり被照射体の体温が上昇します。実際にMRI中の体内深部温度を測定するのは困難なので、高周波の出力から比吸収率(SAR)を予測して、そのSARの上限値を使って高周波の照射量を制限しています。
SARは、RF磁界の送信電力に比例し、患者の大きさ、RF波形、フリップ角、励起方式などさまざまな要因によって変化します。このようにSARは、体温上昇を管理する値として用いられ、成人にSAR 4W/kgの高周波を照射すると、体内深部温度が1℃上昇するとされています。