鉄成分を含む化粧品の塗布やタトゥーから発熱する事実は周知のところです。しかし、ループを形成する形状が状況によってそれぞれ異なりますので発熱の程度や温度上昇の速度も変化してきます。我々の実験経験では、増毛パウダーを振った頭部撮像と骨盤撮像時のガントリー内壁への手指接触では、2~3分の撮像で継続不可能な熱さを被検者が感じで撮像を停止した事例があります。ただし、いずれもわずかな紅斑程度で治療を要することはありませんでした。
実例を基準に判断すると「違和感を感じたらすぐにボタンを押してください」との案内で被検者が大きな障害を受ける前に撮像を停止できると考えますが、説明の仕方が悪ければ、被検者が「こんなもんだろう」と辛抱している間に火傷に至る例もありますので、被検者が十分に理解している説明が必要です。また、タトゥーに関しては発熱した事例があることの説明や、化粧はできるだけ落としていただくなどして、リスクを低減し、トラブルを回避する手段を必ず講じてください。