全身平均SARの条件から頭部SARを外挿するのはお勧めできません。多くのインプラントは、ボディコイルによる円偏波送信を仮定して試験されており、かつ臨床的にもボディコイル送信で頭部マルチチャンネルコイル受信が一般的になっています。したがって、頭部撮像時であっても胸部(あるいは上腹部)付近までRFエネルギーが分布していることが推定されます。この状況で頭部の制限値である3.2W/kgの条件で撮像した場合に、体幹部のSARが2.0W/kg以下になっていることが保証できないからです。
どうしても頭部においてSARが2.0W/kg以上となる撮像が必要なら、医師の責任の下で検査が可能かもしれませんが、被検者にその同意を確実に取っておくことが必要です。もし、B1+RMSの条件が併記されていれば、SARかB1+RMSのいずれか良い結果をもたらす条件で撮像することが推奨されます。