事前に金属チェックを正しく実施したにもかかわらず、本人の自覚もなく、磁性体検知器にも反応しないのに、画像にアーチファクトとして表れることがあります。検査の前半に腹部臓器内に見つかれば検査を中断するのが妥当です。しかし、今回のようにQOLに関係の低い部位で、アーチファクトの大きさが5mm程度で、臓器と離れた体表近くにあって、本人に自覚症状がない場合のMRI検査の続行は可能だと考えます。
今回の場合、腰部で本人に自覚がなく、目視でも発見できないということは、怪我か何らかの原因でその部分に金属が入り込んでいることが推測されますので、検査の続行は可能だと推測しますが、検査終了後に再度その部分を目視で確認し、被検者に異常がないかを確認してください。そして、ガントリ内に飛散物がないかも確認していただき、ファントムにて均一性試験をしてください。いずれも問題なければ、被検者が今後にMRI検査を受けられることも想定して、事情説明を差し上げるのがいいと思います。
以上、アーチファクトが発生している場所、物質の大きさ、患者の自覚症状などを総合的に判断しなければなりませんので、安全性(素材)、アーチファクトの大きさや人体に対する生理学的影響などあらゆることに配慮する必要があります。