2017年のICNIRP(国際非電離放射線防護委員会)の声明では、MR検査による健康影響に関する見解は、騒音や発熱、感覚的攪乱などいくつかの有害な影響と関連しているが、可逆的であるとしている。一方、長期的な影響については、規制値に基づいて運用するならば、回復不能な損傷が予見されるような理論的裏付けはほとんどないとされている。ただし、患者および就業者とも胎児、特に器官形成期の影響調査が必要だと評価されている。
ICNIRP2020では、以前のICNIRPの規制値で胎児の職業暴露が健康に影響を及ぼすという証拠はないものの、職業人の制限値(全身SAR:0.4w/kg)を妊娠後は一般人と同じ制限値(0.08w/kg)にするように規定している。
磁束密度や磁界強度の影響も完全には否定できないが、影響を及ぼしたとする証拠もない(エックス線は影響があることが明確である)。スタッフを勤務させる際には、できれば器官形成期を避けて、本人の希望と了承を得たうえで配置した方がよい。