両側大腿部が接触していたことによって、人体でループを形成して誘導電流が流れ、接触部の電気抵抗が高い部位で発熱し火傷が生じてしまったと考えられます。
大腿部の接触による火傷の防止には、非導電性のスペーサーやタオルなどを挿入し、10~20mm以上の隙間を空け皮膚同士の接触を防止することが重要です。ズボンタイプの検査着を使用すると、皮膚同士が直接に接触することを避けることができ、接触状況も外部から目視で確認できるので、リスクを低減するために有効な対策だと考えます。
大腿部以外にも腕と体幹部や下腿部などもループを形成しやすいので注意が必要です。皮膚同士の接触以外にもRFコイルやガントリとの接触、心電図モニタや生体モニタのケーブルなどとの接触による火傷の事例が報告されていますので、それらについても接触防止の対策を講じる必要があります。被検者には、人体でループを形成しないように手や足を組まないように伝えることも大切です。
RADIOLOGY CASE REPORT 15 (2020) 2569-2571「Thigh burn – A magnetic resonance imaging (MRI) related adverse event」に同様の事例が報告されています。