考える会の実験では、「スーパーミリオンヘアー」は大丈夫で、「アートミクロン」は吸引されるという結果を持っています。製品の添付文書に「磁石に吸引されない(MRI検査をしても問題ない)」との記載があれば、もしパウダーの吸引にて磁場均一度が乱れてもメーカが責任をとってくれる可能性がありますので、添付文書を信用するのもひとつの判断材料です。しかし、責任の一部は医療側にも課せられるでしょう。
添付文書にMRI検査に関する記載のない場合や実験結果がない場合は、現場の判断によるしかありません。パウダーを付けておられるか否かを確認し、頭に触れてパウダーが付くようでしたら落としてもらう(別の日に検査をする)しかありません。そのうえで手術用キャップをしっかり直用していただき、ガントリに近づいても白いキャップに付着物がないかを確認し、実スキャンに移行します。パウダーが手に付かない場合は落としてもらう必要はありませんが、それ以外は同じ対応となります。それでも、撮像画像には磁化率アーチファクトが出現することがあります。
アーチファクトが目的画像への影響が少なければ検査の続行は可能ですが、頭部の表面に熱感など違和感がないかの確認をしてください。検査が終了し、患者の退出後にガントリ内部やカウチにパウダーが付着していないかを確認してください。どこにも付いていなければ、操作者の対応は正しかったことになります。
被検者へのMRIの恩恵の提供、装置の保全、被検者の安全確保の3点を十分に吟味して判断しますが、今回の場合に優先順位はありません。いずれもがか完全にクリアできないとMRI検査は不可となりますが、十分に対策を練って正しく判断すればMRI検査は可能となります。