「安全性上の問題となる含量等事例」という大々的に大きな問題になった報告事例は残念ながらまだなく、さまざまな製品に関する試験を積み重ねてノウハウが蓄積されつつある段階です。これは変位力・トルク・発熱・アーチファクト全てについても同様です。
化粧品や刺青には鉄が含まれているものがあり、化粧品等は実験によって発熱することが確認されています。化粧品での火傷事例はありませんが、温度上昇を起こすことは検証済みで、MR検査中に顔面が熱くなって検査の中止を申し出られた事例は聞いたことがあります。刺青は火傷事例が報告されています。鉄成分を含んだ粉末タイプの白髪染め(増毛パウダー)は、磁化率アーチファクトでデータ欠損した事例や発熱することが確認されています。また、MR検査中にパウダーがMR装置(ガントリ)に吸着し磁場に乱れが生じたため、しばらくMR検査ができなくなった事例もあります。
インシデント(事故)の発生については以下の報告があります1)。グラフ赤で示されている影響度がレベル3(治療や処置を要した)以上の事例も発生しています。