SAR 2.0W/kgは通常操作モードの基準値です。第一次水準管理操作モードは、SAR 4.0W/kgが基準値になります。臨床現場では、通常操作モードが最も安全を担保された基準値として解釈し、多くの場合に使用しています。しかし、撮像範囲を変える場合や、撮像法によっては、しばしばSAR値が基準値を超えることがあり、MR装置側で「第一次水準管理操作モードに移行しますか」等のアラートが自動的に表示され、選択しないと検査が先に進めないようになっています。この場合、第一次水準管理操作モードにした方が、より良い画質が得られるのですが、リスクと画質は常にトレードオフの関係にあり、被検者のリスク(例えば、熱に弱い(心血管系疾患がある、高齢者、体温調節に障害がある等)や体調、環境等)を考慮し、第一次水準管理操作モードにするか、通常操作モードのまま撮像をすすめるかの判断が大切になります。
SAR 2.0W/kgは通常操作モードの上限値であるため、この条件で評価試験を実施しているならば、実用的ではないということではなく、「通常操作モードであれば安全に検査ができる」ということを添付文書に記載できるということになります。