1)妊娠している患者さんの検査で気を付けることについて教えていただきたいです。
2)妊娠何週からMRIを受けることによるリスクが低く、受けてよいとなりますか?
3)初期妊娠で妊娠をしらずにMRIを受けた場合、妊娠がわかった時から追いかけて経過をみたりしますか?
4)胎児への影響はどこまでわかっていますか?
(第2回MRI安全セミナーでの質問 2025/1/26)
妊娠の器官形成期であることが判明している被検者に対するMRI検査は、胎児の発熱を考慮するとMRI検査の実施は慎重であるべきです。これは、女性の下腹部や腰椎のMRI検査をした場合、成人に対するラジオ周波数パルスは部分照射となりますが、胎児にとってはて全身照射となるからです。 2016年9月6日、医学雑誌JAMAに胎児MRI施行における胎児および出生後の小児への影響について「妊娠初期に胎児MRIを行った児は、行っていない胎児と比較して、成長障害、視力、聴力、発がんなど明らかな影響は認められなかった」と発表がありましたが、「問題がないのでMRI検査を実施しても差支えがない」と述べている訳ではありません。妊娠初期の被検者に対してMRI検査を実施するか否かの判断を迫られたときの「MRIを実施する」という判断基準(ハードル)が下がっただけだと捉えています。基本的には、器官形成期(第1三半期間:妊娠期間の最初の1/3(定義は産科学会/放射線医学会/ICRPで若干の差異がある)の約16週までは避けたほうがいいというのが妥当な考え方です。いずれにせよMRI検査の必要度を十分に考えて対応してください。
MRI検査実施後に妊娠が判明した場合の胎児への影響については、上記の論文を引用して説明できると考えます。