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MRI撮影のために歯に接着された矯正器具の一時撤去依頼がときに届きます。頭部以外の観察部位でも撤去は必要でしょうか。撤去依頼があれば撤去しますが、器具の撤去・再装着による負担(時間と費用)は術者、患者にかかります。撮影側の共通な見解が必要に思います
医療機器・器具

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1. 吸引について
矯正器具が金属製である場合、静磁場による吸引の作用は検査部位にかかわらず働きます。吸引の程度は材質や形状、歯への固定強度に依存します。通常は大きな問題となることは少ないと考えられますが、ガントリ入口付近は磁場勾配が大きく、吸引力が強く働きやすいため、検査開始前に入口付近で被検者に違和感や異常がないかを確認することは、リスク評価の一助になります。ただし、この確認のみで安全性を保証できるものではなく、十分な説明を行い、異常時には直ちに申告できる体制が必要です。
2. 発熱について
RFパルスが直接作用する部位でなければ発熱の影響はほとんどありません。したがって撮像が腰椎以下の検査で問題となることはほとんどありません。一方、胸椎より上部の撮像ではRFの影響を受けやすく、局所的な発熱が生じる可能性があります。発熱の程度については詳細なデータが十分ではありませんが、軽度の熱傷で生命に関わる事態となる可能性は低いと考えられます。検査前にその旨を説明し、検査中に熱感や違和感があれば速やかに申告していただくことが重要です。
3. 画像への影響について
頭部や頸椎領域の撮像では、矯正器具により磁場の不均一が生じ、画像が大きく歪んだり、診断に必要な画質が得られない場合があります。スピンエコー法で一部描出可能なこともありますが、精査が必要な場合には矯正器具の取り外しが望まれます。
[まとめ]
吸引と発熱については、器具が強固に固定されていることを確認し、十分にリスクを説明したうえであれば検査は可能です。ただし頭部や頸椎領域の撮像においては画像への影響が大きいため、診断目的や必要とされる画像の精度に応じて、矯正器具の取り外しを含めて判断する必要があります。検査を実施する場合には、必ず非常用ブザーを持っていただき、異常を感じた際には直ちに申告していただく、あるいは検査を中止する体制を整えることが重要です。

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